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映画で授業:The Coveから学ぶ多角的視点の獲得

松蔭中学2年生GSの2学期のテーマは“伝統と文化”

社会では歴史を学んでいる、ちょうど江戸時代。そして英語では、オンライン英会話で世界中の先生に自国の伝統と変化について聞き、その変化が良いかどうかをインタビュー調査している。そしてGL探究(総合的な学習の時間)では、The Coveを取り上げ、考察を行う

伝えたいことは、主に以下の3つについて、知ること。
①多角的に物事を考えて欲しい。
②メディアの在り方について考えて欲しい。
③伝統と文化について考えて欲しい。

第1段階(映画鑑賞)

 The Coveの映画をみて、感想文の提出。
 ⇒大半が日本がひどい、残酷なことをしているイメージ。
 The Coveは捕鯨の映画(以下の予告編参照)


【生徒の感想】
捕鯨問題は深刻な問題だということは知っていたけれど、日本で年間2万匹以上のイルカが殺されていることや、クジラ肉と表記されているのに、実際はイルカ肉だったりと自分の国でこんな非道なことが起こっているなんて想像もつかなくて映画を観ているだけで胸が苦しくなった。それを止めるために日本人がアクションを起こそうとしないことにも驚いた。

残酷だなと思った。なぜイルカをとる必要があるのかと思った。お金を使って票を買ったりしてこんな大人にはなりたくないなと思った。お金のためにいるかを殺してそんなことで手に入れる金はちゃんとしたお金といえるのだろうか。イルカショーはイルカにストレスを感じせてるのを聞いてこれから水族館に行くたびにいるかを見て気まずくなるのだろうなと思った。

第2段階(調べ学習で情報共有)

日本の捕鯨やその他、あらゆる面から捕鯨について考える。
クラスで以下の分野で調べ学習を行い一気に情報共有

①太地町の立場
②鯨を守る世界的なルールは?
③日本人はいつから肉を食べる?
④日本人はいつから鯨を食べる?どんな料理がある?
⑤鯨は食べる以外にどう利用されている?
⑥イルカと鯨の違いは?
⑦最近と昔の捕鯨の方法の違いは?
⑧他の国の独特の食文化は?

スライド例はこういう形

ここで生徒たちは、

「ちょっと待て、前の映画は感想は?」

他の視点からのインプットが入ると、映画に対する見え方が変わってくる

第3段階(小論文作成)

The Coveがアカデミー賞を受賞した賛否について、小論文を作成。

アカデミショーは世界的に有名な賞。それを受賞すると、世界の多くの映画館で上映されることになる。そういう部分をも踏まえて、『この映画が受賞に値するかどうか』について、小論文を作成する。

生徒の小論文例(中2)

 映画「The Cove」に関わる捕鯨の問題については賛否両論があるが、私は「The Cove」がアカデミー賞を受賞したことに反対である。なぜなら、この映画がアカデミー賞を受賞したことによっていろいろな意見がすべて偏ってしまい、もう一方の意見が否定されてしまい、日本の文化が壊されてほかの国の人々に尊重されなくなるからだ。
 まず、私は、捕鯨については反対である。残酷であり見ている私たちからすると可哀想だからだ。しかし、「BBC News Japan」によると、一時、日本は捕鯨をやめていたが、捕鯨を2019年に再開しており、ただ、人間は個々それぞれに多様な意見を常に持っているためそれらを受け入れることも大事である。私は、今回の「アカデミー賞受賞」というものが伝えたいのは「日本は、鯨を捕まえて色々なものに使う「捕鯨」を行っているから良くない、ということだと思う。これは、アカデミー賞を決める側が、自分たちの意見を言い切って捕鯨に賛成する人の意見を全面的に否定していると私は感じた。数学ではないのでそれぞれが持つ意見はどれも正しいし、正解というものはない。アカデミー賞を受賞したことによって否定された側は不快に思ってしまう。捕鯨の映画によって、人々の心を傷つけることはよくない。
 次に、私は鯨を食べたことがないが、私の母は給食で鯨の煮物など鯨料理を食べていたらしく、給食にでるということは、日本の文化であり、人々がクラゲを食べているというように「日本の食文化」である。私は、この「The Cove」がアカデミー賞を受賞したことで日本人に与える影響や、ダメージというものは、残念ながらあり、また、文化の多様性が消えていき奪われてしまっていることが分かる。捕鯨について反対した人が日本を責めるには、良い材料になるが、忘れてはならないのは捕鯨に賛成した人である。賛成の人々はそれぞれの意見があり、それらが尊重されていないことになる。起こってしまうからアカデミー賞を受賞したことに反対だ。
 以上より、私は「The Cove」は受賞に値しない映画だと考える。全世界の人々の気持ちの面についてと、意見が尊重されないことになるからである。そして、今後もあらゆる面で、意見や文化等がたくさんあふれる環境になっていけばよいと切に願う。

教員コメント

捕鯨の賛否や「The Cove」がアカデミ賞を受賞したことについては、人それぞれだと思う。多くの賛否があり、きっと様々な意見がある。そこについては、個人の意見なので、どういう意見を持っても良いと思う。

ただ教育という観点で言うならば、物事は多面的であり、1面から考えるべきではない、ということを子どもたちには知って欲しい。

捕鯨というトピックはセンシティブな内容ではあるが、だからこそ子どもたちの心にも残りやすい。

自分たちの国の伝統と文化を知りつつ、
物事を多面的に見ること、
そしてメディアに踊らされず自分の意見を持つ大事さ

こういう部分はどこにいっても大事なこと。

生徒たちの心に残ってほしいなと切に願う。