見出し画像

中高で英語を話せるようになる指導:話せないという価値観を壊したい。

執筆者:松蔭GS・GL主任 篠原弘樹

日本の中学校と高等学校の英語教育で、英語が話せるようにはならない。誰も中高6年間で英語を話せるようになるとは思っていない。話せるようになるには、英会話学校などに通う必要がある。

そんな風に考えられる大人が大半。
そんな考えを壊したい。


自分自身が中高で受けた英語教育で、英語を話せるようになった記憶はない。英語を学ぶ上での下地ができ、英文法が断片的に少しわかった程度だと思う。

ただ中高6年もあるなかで、しっかりとした英語教育プログラムのなかで、良く考えられたトレーニングを受けるとある程度(留学や海外で生活して困らない程度)までは、絶対、到達できると思う。

そんな願いがあり、今のコースを2020年度に立ち上げた。
松蔭中学校(松蔭GS) グローバル・ストリーム
松蔭高等学校(松蔭GL) グローバル・リーダー

一番の特徴は、平日に毎日オンライン英会話に取り組むこと。
3年間で1万5000分(1年平均で25分×200回)×3年
中高で合わせると約3万分の英語シャワーを受ける。

それだけで英語を話せるようになると良く勘違いされるが、そこは間違っている。単にオンライン英会話を受けるだけでは、レッスン内容をなぞるだけになり、英語に慣れはしても、本質的な学びの部分は弱い。

そこで、工夫しているのが、通常の英語授業のアウトプット先だったり、教科横断や探究授業との連携の部分。

英語授業のアウトプット

例えば、現在完了の継続を学んだとする。
通常の英語授業内では、ペアワークなどでアウトプットの練習を行うが、さらにその先に、「オンライン英会話で自己紹介の時にそういう表現を使っていこう」という目標を設定。

例:My name ○○。 I am ○○ years old. I like ○○. I live in ○○。 I have lived in ○○ for ○○ years. みたいな形

オンライン英会話では、最初に自己紹介を行う。
そこで、実際に使う「自己紹介」の部分に学んだことを組み込んで、実際に使うアウトプットの場として設定する。

動名詞や不定詞など、自己紹介で使える表現は多々ある。新しい文法を学んだら、即実践。そして、年間200回の中で、何度も使うことにより、定着。

教員の指導のもとで行っていく、こういう方法が、単にオンライン英会話レッスンを受けるより、より表現力を高めていき、自然に英語を習得していく流れだと思う。

教科横断&探究との連携

良く英語特化のコースに対する批判として、英語だけできても仕方ない。
英語だけではなく、全体的な学力が伸びないと、意味がないのでは?
という声を頂く。

まさにその通りです。


英語は共通言語として便利なツールです。

よく実力考査などの点数で言われるのが、英語は他科目の力がないと頭打ちする。簡単に言えば、国語の読解力や総合的な意味での考える力がないと伸びない。

これもその通りだと思います。


ちなみにCEFRの基準をみてみると、英検2級(B1)や英検準1級(B2)のレベル説明では、以下のように言われている。

B2(英検準1、TOEFL Junior850)
自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。

B1(英検2、TOEFL Junior750)
仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近な話題や個人的に関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができる。

どうみても「考える力」が必須であり、
そもそもの英語の検定自体が、以下の2つの視点が入っている。

①ツールとしての英語の運用能力
②総合的な意味での学力

だからこそ、大事なのは

英語という教科を通して、どういう学びを得て、人として成長していくか


そこで、教科横断&探究の授業とオンライン英会話を連携させた授業を展開。

例えば、中学2年生の1学期だと、本校では家庭科や保健の授業で、幼児からの身体の成長やこころの成長を扱う。そこで、探究のテーマを「女性と将来」として、日本の出生率について考える。

オンライン英会話では、色んな国の先生方に

あなたの理想の子どもの人数は何人ですか?またその理由は?

とインタビュー調査を行う。

そこから、世界の色んな国の出生率や子どものことについて知識を得て、さらに日本の出生率についても考える。

もちろんそれに関わる単語や表現も学ぶ。

オンライン英会話で、英語の練習を行いながら、なおかつ知識や世界の現状を知ってくる。

ちなみにアフリカのある先生は、2人と答え、その理由を今の世界の現状(グローバル化)などを考えると、時代はかわっていて、費用的にも2人が精いっぱいと答えた。

アフリカだと人数が多そうなのにこの状況。
世界は変わっていっている。
そんな状況をもが、オンライン英会話で得られる。

こういう学びこそが、人としての成長を促していくのではないかと思う。

そして、何よりも英語で情報を獲得することの大切さが分かり、本来の英語を学ぶ意味を感じられるのではないかと思う。

4年目を迎えた今の状況は、こちら。


中高6年間で英語をものにする。
そんなことを信じる人は、なかなかいない。

そんな考えを壊したい。英語は物にできる。
また日本にいたとしても英語を通して、色んな世界を知ることができる。

今後もそんなプログラムを追求して、実行していきたい。

【関連記事】

【その他、特色のある取り組み】
1年を通しておこなうプロジェクト学習

【中高生の朝活】

【オリジナル記事】
今回は約1年前に書いた記事を再編集しました。


この記事が参加している募集

英語がすき

探究学習がすき

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!